EPSILON9 インプレッションレポート

NEW GEAR IMPRESSION

ADVANCE EPSILON 9 

REPORT : Masayuki Matsubara

 

1995年のデビュー以来、改良を重ね続けて9世代目となるイプシロン
多くのパイロットから称賛され、空を飛ぶ楽しさを教えてくれる翼
今回はどんな仕上がりになっているのか
その実力を検証してみよう

良い経験を末永く

 発表にあたり開発チーム『空を飛ぶ喜びを知ってしまった地球人に、パラグライダーを紹介するのは特別なことではありません。何が特別かというと、ライセンスを取得してからずうっと、スポーツの気持ち良さと良い経験を届けることです。それがまさにイプシロンシリーズの役割なのです』とメッセージを公開している。
 今回は春のラフなコンディションでテストフライトをしてみた。日差しは強いがまだ上空の寒気が抜けきらず、気温減率も良い。好条件を期待できる反面、不安定な大気で空は荒れ気味。イプシロンのロールアウトには打って付けの条件だ。今回は24サイズ(70〜88kgが認証範囲)に、ほぼど真ん中の80kgでテストフライトを行った。

最新テクノロジーを全て搭載

 グライダーを広げてみる。見た目の大きな変更点は、シグマ10やイオタ2で採用されているミニリブが内縫い化されている点だ。翼端にはオートマチックダストリムーバーが採用され、後縁に溜まったチリやゴミが翼端から自動的に排出される。
 セールは、軽くて丈夫で評判が良いスカイテックス38がメインで使われている。ラインはエーデルリッド製のアラミドを使用している。。ボトムだけは被覆で色分けをしているが、見分けがつきやすいので安心だ。アスペクトレシオはエイトからは0.5上がって5.2となった。実はシグマ4とほぼ同じである。これには驚くばかりだ。

 

最高の扱いやすさ

 ブローを待って風を入れてみると、ゆっくりと立ち上がってきて、ブレークを軽く当てると頭上でピタッと止まる。多少斜めに立ち上がったとしても、頭上に上がるまでに翼が勝手に修正してくれる。しばらく立ち上げの感じを確かめた後、ローンチ。更にハンドリングの正確さが増し、引き代に対して翼がリニアに反応する。このハンドリングの良さこそが、飛ぶことの楽しさと快適さを生み出しているのだろう。
 ファーストサーマルに入る。まだコアがはっきりとせず、上がらずとも下がらない。ギリギリステイができる。軽くて軽快なハンドリングなので、小さくて掴みづらい難しいサーマルでも捕らえることが可能なのだ。順調に高度を稼いだところでトランジットしてみる。アクセルを一段踏んでみると、スーッとスピードが上がるが、滑空角が下がることはない。2段目を踏んでみると更にスピードが上がる。エイトの時は2段目で多少滑空比が落ちた感があったが、ナインではあまり感じることがない。

抜群のハンドリング

 少し高めの高度でランディングへアプローチ。低速の効き具合を確かめながらターゲットに寄せていく。低速の効きも素晴らしく、優れたストール特性を実現している。これはアドバンスエアスクープが寄与しているのだろう。
 空を飛ぶことに必要な要素、浮く、曲がる、飛ぶ、そして低速の良さ。全て簡単に実現してしまっている。しかも高次元でいて、快適なのだから驚きだ。
 クセがなく、純粋に空を飛ぶことを楽しめる翼。今度のイプシロンも前回を上回る出来の良さだ。あなた自身で確かめてこの素晴らしい翼を体験して欲しい。

2019 4 PARA WORLD

 


スペックデータ

EPSILON 9   22 24 26 28 30
翼面積(実測) m2 22.1 23.9 25.9 27.8 29.8
翼面積(投影) m2 18.5 20 21.7 23.3 25
テイクオフ時の推奨重量 kg 65-75 75-85 85-97 97-110 110-125
認証重量 kg 60-77 70-88 80-100 92-114 105-128
グライダーの重量 kg 4.15 4.4 4.65 4.95 5.25
スパン(実測) m 10.73 11.15 11.61 12.03 12.45
スパン(投影) m 8.26 8.59 8.94 9.26 9.59
アスペクト比(実測)   5.2 5.2 5.2 5.2 5.2
アスペクト比(投影)   3.68 3.68 3.68 3.68 3.68
マックスコード m 2.59 2.69 2.8 2.9 3.0
セル数   47 47 47 47 47
ライザー数   3+1 3+1 3+1 3+1 3+1
認証クラス   EN / LTF B EN / LTF B EN / LTF B EN / LTF B EN / LTF B

スタンダードカラー