イプシロン8のインプレッションレポート

イプシロン8のインプレッションレポート

DCIM100GOPRO

NEW GEAR IMPRESSION

ADVANCE EPSILON8

REPORT : Masayuki Matsubara

 

常に時代のレクレーションクラスを牽引しているイプシロン。
初号機のリリースから23年が経過して、ついに8代目となるモデルが完成した。
洗練されたシェイプと更に進んだ軽量化。乗るたびに空の楽しさを与えてくれる翼。
その実力を検証してみよう。

 

風と戯れ遊ぶ

春の足尾界隈は、天気図にほど良い南風のサインがでると、休日でなくても驚くほどのパイロットが集まってくる。クロスカントリーフライトの記録を狙う猛者たちだ。

この日も南風のサインに誘われて、平日にも関わらずたくさんのパイロットで賑わっている。こんな日に撮影だけなんて勿体ない。インプレッションを兼ね、みんなとクロカンへ出かけることにしよう。

 

今回使用するサイズは25㎡で自重4.45㎏とクラス最軽量。アッパーとロアサーフェイスに強度の高いポルシェスポーツスカイテックス38ユニバーサルを使用。軽量でありながら丈夫で永く使えるよう設計している。軽量の秘密は内部構造にある。オメガエックスアルプスからの最新テクノロジーを搭載している。これは正確に負荷を計算し、グライダー内部の対角構造を必要最小限にとどめている。この技術はエックスアルプス2015の輝かしい結果で実証済みだろう。

 

25のスターティングウェイトは70㎏から90㎏が推奨レンジとなっているが、プラス10㎏を拡張重量レンジとしている。よりダイナミックなフライトを好むパイロットは100㎏ほどにすると良いだろう。ベストの上昇性能を求めるなら、推奨レンジ内がオススメだ。今回はど真ん中の80㎏でチェックしてみる。

 

思う通り自由自在のコントロール

まずはライズアップ。

強めのアゲンストでインテークに風を入れる。ふわりと立ち上がり翼が頭上に来たところで押さえる。追い越そうと翼が走ったり、キョトキョト左右の翼端が動くようなことはなく、ビシッと頭上安定している。流石はイプシロン。とても扱い易い仕上がりになっている。

 

加速してテイクオフ。グライドフィーリングはアルファ6とイオタの丁度真ん中といった感じ。春の強めのサーマルに入り、旋回を開始してみる。

ブレークプレッシャーはしっかりとした感触で、引きしろを忠実に旋回に変えていく。驚くほどハンドリングはダイレクトで正確だ。

切れの良いシャープなターンが簡単に決まる。サーマルコアを逃さず捕まえて、一気に雲底まで導いてくれる。8代目はさらに磨きがかかり、思う通り自由自在のコントロールができるように仕上がっている。

 

南風が押してくる前に、少しでも距離を稼ぐためベストポジションを取りに筑波山へ向けてグライドする。

アクセルの一段目を踏み込んでみる。スルスルとスムーズな加速をするが、沈下率が増えることはない。2段目も踏み込んでみると、更にスピードが上がる。沈下率は流石に-2m/sになったが、この加速ができるならクロカンには大きな武器になる。

 

イプシロン8クロカンへ出発

サーマルトップが上がり始め、1600mで燕山を離脱。クロカンのスタートだ。

まずは高峰山を目指して北へ向かう。南風に乗ってみんなでグライド開始。ルートをしっかり見極めてサーマルポイントで上げなおす。

クロカンの基本はこの繰り返しだ。みんなで行けばサーマルヒットの確率が上がるので楽に早く駒を進めることができる。なによりもクロカンの醍醐味をみんなでシェアできるのが楽しい。

 

若干南西よりの風を意識して、集団は茂木の変電所からいつもより西側のルートへ進んで行く。自分は烏山のドッグレッグから那珂川東の山ルートが好みだが、この日は集団と一緒のルートを選択する。

時折、南風の波を通り越さないように注意して、戻ったりしながらみんなで移動。烏山付近ではサーマルトップも上がり1700mまで上昇。ゴルフ場のサーマルポイントを拾いながら順調に北上。

周りのグライダーにBクラスは自分だけだが、クロカンだったらグライドもスピードも遜色はない。何よりも強烈なサーマルに当たってもビクともしない安心なのが嬉しい。

 

馬頭温泉を目前にして、次のサーマルに乗り切れず敢え無く那珂川の河原にランディング。

ランディングの高度処理をする時、かなり南風が強めでラフな感じだったが、そこはイプシロン。低速も良く効いて操作しやすい。これはエアスクープと半円形のエアインテークによる効果で、ストールポイントまで15%も長いブレーク操作幅ができているとのことだ。

 

イプシロンは空を飛ぶことの楽しさを教えてくれる

 

今年の初クロカンはイプシロン8で45.8㎞。ファーストインプレでクロカンに行けるのはコントロールのし易さゆえのもの。イプシロン8の完成度は高く、一番印象に残るのはピッチとロールのバランスの良さ。アドバンスグライダーの全てに言えることだが、そのバランスを忠実にコントロールできるハンドリングが素晴らしい。

 

空を飛ぶ感覚を最も気持ち良く体感できるイプシロン8。それはまるで自らの腕が翼になっているような感覚だ。

この素晴らしい翼を全てのフライヤーに体感して欲しい。

 

DCIM100GOPRO

撮影協力
nasa、UPネスト、Birdsパラグライダースクール

 


 スペックデータ

EPSILON 8 23 25 27 29
翼面積(実測) m2 22.5 25.0 27.0 29.0
翼面積(投影) m2 18.9 21.0 22.7 24.4
テイクオフ時の推奨重量 ** kg 55-75 70-90 80-105
95-125
グライダーの重量 kg 4.15 4.45 4.95 5.15
アスペクト比(実測) 5.15 5.15 5.15 5.15
認証クラス B B B B

* 推奨重量範囲内で、装備重量・グライダーサイズにより変動します
** パイロット、パラグライダー、全装備を含む


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